新卒で入社した総合商社を退職。世界で戦えるビジネスパーソンを目指し、私費でMBAへ。【Connect1 Kennyさん】①大学~商社時代

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ー日本では商社は日系最人気企業群ですが、自分の子供の世代にもおすすめできますか?

 非常に難しい質問です。
 すごくありていに言ってしまうと、商社に入ることのメリットは「終身雇用・年功序列が大前提の日本社会の中で、最高峰の報酬と社会的ステータスが得られること」だと思います。
 しかし、これらのメリットも不確かなものになりつつあります。要因は二つあり、一つ目は日系大企業の終身雇用・年功序列自体が、日本経済や通貨の競争力の変化により必ずしもそれさえあれば安心という時代ではなくなってきていることです。二つ目は、日系大企業の商社にこだわらずとも、高いお給料と社会的ステータスが得られる道が増えてきていることです。グローバル化が進む現代社会では、GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)をはじめととした外資のグローバル企業や戦略コンサル、投資銀行、或いは、一部のスタートアップなどでもそういったメリットが得られます。これからも、ほかの選択肢が生まれてくると思うので、これからの子供の世代にと言われると悩ましいです。

ーどのような人が商社に適しているとお考えですか?

 繰り返しになりますが、終身雇用・年功序列大前提としているので、長期的に商社で働くことに適している人、つまり日本大企業のカルチャーや価値観にフィットしている人だと思います。
 商社では良くも悪くも仕事のスピード感や、早い成長を求められません。そこをじれったいと思わず、「10年で一人前」くらいのペースで考えて仕事に打ち込める人が適していると思います。そして商社勤務自体が激務なので、働くこと自体がが好きな人に向いているのかなと思います。
 しかし、最近は必ずしも全員が長期で勤めるというわけではありません。新卒で入っておけばポテンシャルの証明ができるという打算や、名の知れた日本企業で働いていたという日本人からの安心感が得られるという目的のために最初から辞める前提で入社する人、「まあやめてもいいかな」という気持ちで入社する人もいると思います。「数年で辞めて戦略コンサル転職しよう」とか「数年で辞めてMBAに行こう」という明確な将来のビジョンがあって入社するのであれば、必ずしも前述のカルチャーフィットがなくてもいいと思います。

ー商社時代の所属・業務内容を教えてください。

 二つありまして、一つ目はリスクマネジメントといわれる部署です。M&A(合併・買収)のサポートなど、営業ではなく、コーポレート側の部署でした。具体的には、事業投資案件の実行サポートや投資先マネジメントを行っていました。
 二つ目は、鉱山開発をしている営業部署でした。マダガスカルの鉱物資源開発において、リスクマネジメント部署での経験を活かし、パートナー同士のネゴシエーションやリストラクチャリング、プロジェクトの戦略立案やビジネスプランのレビュー、ファイナンス・リーガル寄りの業務を行っていました。

(参考)
パートナー=共同出資者
ネゴシエーション=交渉
リストラクチャリング=資本再編
プロジェクト=事業投資案件
ビジネスプラン=事業計画
ファイナンス=投資・財務(会計ではない) リーガル=法律実務

ー激務と言われる総合商社ですが、商社時代はどのくらい忙しかったのでしょうか。

 波はあったと思います。平均して考えると、僕は忙しくなかった方のような気がします。
 同期の中には仕事が忙しく、毎回の飲み会に参加できない人や週末も働いているという人もいました。僕は役割的にはそこまで忙しくはなかったと思います。基本的には19時〜20時には帰っていました。
 プロジェクトに問題があった時や季節的に決算で忙しいタイミングは2時3時まで働いたり、22時23時に帰って4時5時に会社に行くというときもありましたが、そういう期間は長くても1週間〜2週間でした。


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